できちゃった結婚〜もしも俺が赤ちゃんになったら〜
* * *
「……どうしたの?」
希はまだ眠そうな真紘を抱きかかえながら、玄関先でそう呟いた。
そりゃそうだ。
こんな朝っぱらに走って帰ってきて、汗だくの俺が玄関に立っていたら誰だって何事かと思う。
「……今日、仕事でしょ?昨日、残業って言ってたからそのまま会社泊まって……っ??!……凌…??」
彼女の言葉を遮って、真紘ごと希を抱きしめた。
真紘になってた時に感じた、包まれるようなあの優しくてあったかい香りが、今は俺の腕の中にある。
「……凌……?どうしたの?」
真紘になってた時は、守られたいように感じたのに、今腕の中にいる希は守りたくてしょうがない…。
絶対、失いたくない。
「……希……ごめんな…。」
伝えたかった想い。
たった一言だけのその言葉に、
ギュウギュウで溢れてしまうくらいの想いを乗せて。
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