できちゃった結婚〜もしも俺が赤ちゃんになったら〜
それから一年後……
「もう!凌、早く起きてよ!!仕事遅刻する!」
朝はいつも希の大声から始まる。
「布団干すから、早く起きて!朝ごはんも冷めちゃう!あたし、お弁当と真紘(まひろ)にミルクあげなきゃいけないんだから、何回も起こさせにこないで!」
真紘というのは、三ヶ月前に産まれたばかりの、高崎家の長男だ。
大きな目と、サラサラの髪の毛は希に似てる。
よく女の子に間違えられて、親の俺が言うのもなんだけど、なかなか可愛いイケメンな息子だ。
真紘が産まれてから、希はなんだか怒りっぽくなった。
真紘が産まれたから、希は真紘に付きっきりだし、夜の営みだって、真紘の夜泣きで最近ご無沙汰中。
仕事は忙しくなる一方で、家に帰るのも遅い。
たまの休みは、疲れきった体を休ませる為ゴロゴロしてるか、真紘が泣いてうるさいと、俺はパチンコに逃げたりする。
だから、必然とここ最近は夫婦の会話はない。
いや、真紘が産まれてから…三ヶ月間は本当にちゃんと会話らしい会話をしていない。
「…凌、今日も遅いの?」
「…多分。なんで?」
「……ううん、なんでもない。」
最近はこんな感じでひと言二言くらいの会話。
ケンカしてるわけでもキライなわけでもない。
「いってくるわ。」
仕事の用意を済ませ、俺はいつも通り家を出た。
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