【短編集】翳りゆく部屋 ~サビシガリヤノオンナタチ~
『後で、電話をしてみよう…』


仕事を優先させる為、有子は残りのパスタを口の中へ押し込んだ。




ーーーーー夕方。

昨日、トラブルがあったわりには珍しく、6時には仕事も片付いた。

『そうだ、徹哉に電話をしなくちゃ』

会社を出ると同時に、有子は携帯を開いた。


“おかけになった電話は、現在使われておりません…”


『まさか…』

昨日の夢と、昼間のメール。

そして、繋がらない携帯電話。


急に、不安が込み上げて来る。


有子の足は、自然に徹哉の住むアパートへと向かっていた。





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