【短編集】翳りゆく部屋 ~サビシガリヤノオンナタチ~
『おかしい……』

有子は、徹哉の部屋の中に違和感を感じていた。


二人で買った、お揃いのマグカップがない。

有子のお気に入りのクッションも、サイドボードの上に飾ってあった、思い出の写真も………


そして何より、この部屋を借りた時に、有子が一番拘った“淡いブルーのカーテン”までもが無くなっていたのだ。


『徹哉………
あれは、夢でしょ?
あたしを驚かせようとしただけだよね?』


有子は、鎮まり返った徹哉の部屋の中で、茫然と立ち尽くす他に、何も出来なかった………





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