【短編集】翳りゆく部屋 ~サビシガリヤノオンナタチ~
徹哉との連絡が取れないまま、時間だけが過ぎて行き、有子の精神状態も、日毎に不安定になる。


仕事では大きな失敗をして、責任ある立場から外され、肩身の狭い思いをしながら、会社に行く日々。


『どうしてこんな時に、徹哉に会えないの?』


あれから有子は、何度も徹哉の部屋に行った。


部屋に帰って来ている様子はあるが、未だに徹哉には会えない。


それでも先週は、ペアのマグカップを持って行き、今週は………


有子は、徹哉に会えるまで、頻繁に出掛けて行ったのだ。


『何かの間違いよ……』



頭の中には、それしかなかったから。





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