【短編集】翳りゆく部屋 ~サビシガリヤノオンナタチ~
責任のある仕事を任されて、毎日が充実していた有子は、半年前に徹哉のプロポーズを断わった。


そして、自分に絶対の自信を持っていた有子は、徹哉との約束を毎回破る様になった。


それでも生き生きと働く、有子の姿が好きだったから、徹哉はいつも待っていたのだ。


何度でも…

何度でも…



そして…
限界を迎えてしまった徹哉は、二人で話し合い、別々の道を進む事を決めた。



過ぎた時間は、有子にとって徹哉との思い出を、キレイにしてゆく。


失ってから初めて気付く出来事に、心のバランスが次第に崩れ、いつしか自分に暗示をかけてしまったのだ。


『あれは“夢”だった』
と………





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