【短編集】翳りゆく部屋 ~サビシガリヤノオンナタチ~
結婚をして8年。

一人息子の瑛太も、もうすぐ小学校へとあがる。


新婚当時の様な、甘い雰囲気はないけれど、夫もそれなりに優しく、幸せである。


それこそ、“浮気”をしたいなんて、考えた事もなかった。



「ねぇ、名前は?」


そう、この“少年”に惑わされてしまう理由は、敬語を使わない所だ。


夫と父親以外の男の人に、こんな風に話されるのは、本当に久しぶり。


「野梨子よ、貴方は?」

「俺は、シュウ。
じゃあ、野梨子、行きたいトコロは?」





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