【短編集】翳りゆく部屋 ~サビシガリヤノオンナタチ~
5分しか経ってない。


あたしは窓を開け、ベランダから身を乗り出して、月を探した。


雲一つない、澄みきった空気の中でそれは、右上が少し欠けてはいたが、暗闇をうっすらと照らしていた。


『ホントだ…』


あたしは、携帯を手にとり、“雪”に宛ててメールを作る。



“どうして私にメールを?”



ーーーーー送信。



何故か、ドキドキしていた。


顔も知らない人なのに、何故か。





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