海の唄が聴こえる夜〜想いを君に伝えたい〜
浩二は、膝を曲げて背を低くし、仁藤に顔を近付けた。
『……♪♪♪』
二人は目を開け、見つめあった。
「今の…歌?」
仁藤が尋ねた。
「わかんないけど…、海から?」
浩二の言葉で二人は海に視線を向けたが、漆黒の海に何も見つけることはできなかった。
遠くで海鳥の鳴き声がしたが、さっきの物とは違っていた。
でもしばらくして…。
ハッキリとそれは聴こえるようになってきた。
『キュ〜ッ♪ククッ〜♪』
『フィ〜♪フィ〜♪フュウ〜♪』
浩二と仁藤は不思議なリズムの中で見つめ合っていた。