海の唄が聴こえる夜〜想いを君に伝えたい〜
「ありがとう…。でも、芝居とはいえ…、気持ちが足らなかった…。ごめんな。」
ここで初めて、福永は汐莉を見た。
視線が合った汐莉は、笑みを浮かべながら瞳を閉じ、首を横に振った。
「違うの…、こうちゃんは……。小学校の学芸会の時だって、脇役のはずなのに、舞台を支配していたの。…各クラス、同じ劇なのに、こうちゃんのクラスだけ全然違う劇になっていた…。それがあったから、こうちゃんを部に勧誘したんだけどね…。」