■短編■-茜空-
◇気持ち
ガラッと扉を開けるとすぐ、棚と棚の間に立っている男の後ろ姿が目に留まった。
《……え?》
物音に反応し、振り向いた男は、君も提出物出さなかったの?と言って、ふっと微笑んだ。
『あ…はい…』
口元が引きつる。
ドクン、ドクンと鳴り響く自分の心臓の音がひどく響く。
目の前の人物を見て、頭が混乱し、うまく話せない。
そのあまりの衝撃に変な汗が出てくる。
そこにいたのは…
いつも私が見つめている彼だった。