■短編■-茜空-
「そっかあー俺元々空を見るのがすごい好きでさ、朝とか毎日必ず見てるよ。」
先輩は空を見ながらそう言った。
『先輩…どんな空が好きなんですか?私、青空も大好きだけど…茜空が一番好きですっ』
と笑顔で言った私を見て、先輩はまた一瞬目を見開いた。
そして少し間をあけて。
「俺も…茜空が一番好きだな。最初は青空が一番好きだったんだけど、途中から茜空が一番になった」
「~そうなんですかっ」
自分の好きなものを好きな人も好きと言ってくれる。
そんなことにすごく喜びを感じて、心の中ではしゃいでいた私はこの時全然気付かなかったんだ。
先輩がこの時眉を歪めて、一番切ない顔をしていたことに。