■短編■-茜空-


会いたい時に会えなくて、会いたくない時に会ってしまうのはなんでなんだろ。



《落ちつけ!落ちつけ自分!》
と心の中で自分に言い聞かせる。


『先輩も提出物出しにきたんですか?』

焦る自分を隠しつつ、ニコッと先輩に笑ってみた。


「え?ああ…うん」


一瞬戸惑った顔をして、先輩は優しく微笑んでくれた。


笑ってくれたことが嬉しくて…


『あのっ先輩、今日一緒に帰りませんか?』


ドキドキと心臓が鳴り響き、手から汗がにじみ出てくる。きっと今顔は真っ赤だろう。


《ストレートに嫌だ。って言われたらどうしよ…》


不安に押し潰されてギュッと強く目を瞑る。


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