■短編■-茜空-
◇違う人
私の気持ちとは裏腹に次の日は快晴。
憎らしいくらい綺麗な青空に飛行機雲が絵をかいた。
「楓…おはよう…大丈夫…じゃないよね…」
教室に入ると事情を知っている美緒が眉をハの字にして心配そうな顔をしていたので、私は作り笑顔で"大丈夫だよ"と言った。
美緒は私の目元にそっと手をあてる。
「嘘…目…腫れてるよ…」
その瞬間、涙が出そうになるのを下唇を噛んで堪えた。
『美緒…昨日急に電話しちゃってごめんね…ありがと』
「何言ってんのっ全然いいよっ」
そう言って笑った美緒を見て、私も自然に笑顔になれた。