■短編■-茜空-
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六限目を終え、放課後になったので、美緒と一緒に昇降口まで歩いた。
「あっ!!いたいたっ嵐!!」
美緒の声に反応し、こちらを向いて手を振る。
《あ…この人知ってる…》
いつも廊下で固まって騒いだる人だ。
そういえば美緒がよく話しかけてたっけ……
「楓ちゃん、初めまして!俺のことは嵐って呼んでねっ」
と、笑いながら手を差し出してきた。
『あ…よろしくね…』
優しく手を握り返した私を見て、美緒はニヤニヤしながら肘で嵐君をつつき、"バイバイ"と言って走っていった。