部活後サイダー
◇
7時近いのに、まだまだ明るい。そんでもって、暑い。
3時間近いハードな練習をこなして、体はぐったり。
今日もお疲れ様、自分。
なんて思いながら、学校前の自販機で買った、100円のサイダー。
プシュ、と中から空気が出る。
ごくり、ぴりぴり。
ふう、冷たい。爽快感。
「あ、サイダー。いいなぁ」
一息ついたあたしの後ろに、自転車にまたがった先輩がいた。
どきり、胸が高鳴る。
「あ、せ…先輩」
「ちょーだい」
「え?」
ひょいとあたしの手から缶が奪われる。
え、え?
ごくり。
「ん、美味い。ありがと、カナちゃん、またあした」
先輩は微笑み、あたしの元に缶を戻して、颯爽と帰ってしまった。
帰りの間じゅう、缶を見つめながら歩いてしまった。
家の前まで来て、やっと一口。
ごくり、ぴりぴり。
サイダーは、もう、ぬるかった。
*部活後サイダー*