あたしが見た世界Ⅱ
あたしが泣き始めてからどれくらいたっただろうか。
もう随分と時間が経ったような気がする。
「……グス…………ありがとう……もう大丈夫だ」
「辛くなったら吐き出せばいいんだからね?」
ソイツは念を押すように言った。
「……椎名 隼人、」
「ん?」
「これからよろしくな」
「フッ、あぁ、よろしく。
殺し屋?」
「……“一之瀬 アイ”だ、暴走族」
あたしらはそう言った。
「あ、アイ。
はい、これあげる」
隼人が手に持っているのは
いつもつけている緋色のピアス。
「くれるのか?」
「もちろん」
………………。
あ、
「じゃ、あたしのもあげようか?」
あたしは冗談で言った。
つもりだったのに。
「ほんとッ!!!??」
目をキラキラさせて言う。
「……あ、あぁ」
結局
あたしらはお互いのピアスを片方だけ交換した。