あたしが見た世界Ⅱ

「で、あたしの本当の名前は“一之瀬 アイ”だ」



あたしがそう言うと朱雀が驚いた顔をしていた。





「…“一之瀬 アイ”……じゃと…?」



「どうしたん?朱雀?あ、そいや、お前の消えた幼馴染みも“アイ”っちゅー名前やったなぁ……」



慧が言う。




……幼馴染み、か





「どこまでいったんや?」


「何がじゃ、ボケ」


「あれ、幼馴染みならカレカノやないん?」


「……残念じゃったのぉ。俺らそこまでいってないわ。つーか、告る前に消えた」


「……は?いや、人間消えんやん。蒸発でもしたんか?(笑」


「あー、間違えた。死んだ。一家ごと死んだ」


「………………すまん…。で、何歳なん?」


「……9歳」


「「「「…………………………」」」」






……何なんだろうな、この重苦しい空気。


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