あたしが見た世界Ⅱ
バケモノ
ーーーーーー クスッ 可哀想な子
その声が聞こえて
あたしは閉じていた瞼を開ける。
ーーーーーー クスクス 本当に可哀想な子
『……な…ッ…』
気付けばあたしの鳩尾にあの匂いがする刀が刺さっていた。
だが
不思議と痛みはない。
『―― ゴプッ……』
あたしの口からは血がボタボタ落ちていく。
ふと
空を見上げると
真っ暗な闇に小さな光が点々と
闇に飲まれないように輝いていた。
その中でも一際目立つ真っ白な月は
まるで
あたしを嘲笑うかのように
不気味に輝いていた。