マイベイビー&ハピネス☆

「薫はこの子を育てていく気がないんでしょ?だったら、施設か、警察だよ」


「……もう俺とは関わらないんじゃないのか?」


「あなたとは関わりたくない。でも、大翔くんに罪は無いから。

少しの間だけだけど、お世話もしたし、放っておけない」


なるほど、ヒカルらしい。


「…そうか。でも警察はダメだ」


ヒカルがギュッと眉根を寄せた。


「まだ自分の身が可愛いって言うの?

生まれて間もない赤ん坊が、こんなに毎日連れ回されて。

出生届も出されて無いかも。かわいそうだと思わない?」


「ヒカルに関係ない。俺の子だ」


「都合のいいときだけ親ぶらないでよ!」


連日の疲れ。

軽蔑あらわな声。

俺のイライラは頂点に達した。


「俺だけが悪いのかよ!?母親は無傷で、俺だけが泥をかぶらなきゃならないのか!?」


「そうやって、自分のことばっかり!責任の半分は薫にあるんだよ!?」


「責任だと!?俺は運が悪かっただけだ!ヒカルだって、合意で避妊しなかったこともあ
っただろーが!お前が母親の可能性もあったんだぞ!」


「それは……」


「あ゛~~ううっ…あ~~」


言い争っていると、大翔がぐずつき始めた。


「よしよし。ごめんねー」


ヒカルが、大翔をあやす。

だけど大翔は、泣きやむどころか声を張り上げた。

泣きたいのはこっちだっつーの……。


「…ごめん。怒鳴ったりして」


なんだか酷く疲れて、俺は壁に寄りかかった。


「……ねぇ薫」

「何……」


憔悴した俺に、ヒカルが震える声で言った。


「大翔くん、すごい熱がある…」



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