マイベイビー&ハピネス☆
* * *
「ずいぶん私を探していたようね」
こじんまりしたレストラン。
夕貴が、テーブルの向かいに座って言った。
膝の上にミャア子ちゃんを乗せ、無表情にメニューをめくっている。
猫を連れているのに、店員は特に反応なし。
俺は、猫に気を取られ、すぐには気付かなかった。まさか、猫を抱いていた人物が、夕貴だったとは。
「俺が会いに来た理由、分かってるよな?」
「ええ、もちろん」
夕貴は、あっさり言った。
人形みたいに美しい顔は、人形みたいに無表情。
「大翔……赤ん坊のこと…。どうして妊娠したとき、俺に一言も無かった?あんな、脅迫めいた手紙まで残して」
「ごめんなさい、あの時は。色々事情があって。薫も大変だったでしょうね。まぁでも――」
彼女は冷たい目でジロリとこっちを見た。
「果たしてあなたは、私が母親だと証明できるのかしら?」
この女、一体どういうつもりだ?