マイベイビー&ハピネス☆


「雫さん、大翔くんを施設の前に置き去りにしたって言ってたでしょ?」


「ああ」


「それって、犯罪だと思うんだ。保護責任者遺棄っていうの?」


「それは、そうかも」


ふと浮かんだ疑問を、ヒカルが変わりに口にした。


「どうして、普通に施設に預けなかったのかな?」

カンカンカンカン。

踏み切りに差し掛かっていた。

雨は一向に降り止まない。

電車が走り、過ぎ去っていく。

遮断機が、開いた。

そのときだった。


ゴツッ。


後頭部に、鈍い衝撃。


「う”っ……」


俺は膝から崩れ落ちる。

とっさに、カバンを抱いた腕に力を込める。


――大翔……。

遠くでヒカルの悲鳴が……。


そして、



――視界は闇に包まれた。

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