マイベイビー&ハピネス☆
「――薫くんの不幸そうな顔が好きなんだ」
「は?」
「悲しそうだったり、怒ってたり、疲れてたり。慌ててたり、もね。そんな薫くんが好き。だから振ったの。
失恋したときの薫くん、とてもステキだった」
「……」
「学園祭のときもね、尚輝くんの気持ち知ってて、わざと薫くんを困らせようとしたの。お姉さんに邪魔されたけどね。
で、尚樹くんと付き合ったのは、あなたを傷つけるのに利用できるかもと思ったから。さっき、砺波ヒカルに演技させたのもそう」
……。
「薫くんと別れてからも、ずっと見てたよ。
それで幸せだった。
でも、砺波ヒカルと付き合いだしてから、薫くん、明るい顔しかしなくなったよね?
だから私、色んな場所に盗聴器とかカメラつけて薫くんを観察して、追いつめる方法考えてた」
俺は声も無く、
ただひたすらドン引きした。
「方法は色々あったけどね。一番、長くあなたを苦しめそうなのが、大翔くん――あなたの息子だった。その予想は当たったみたいだし」
俺はようやく口を開く。