マイベイビー&ハピネス☆
「私、雫が赤ん坊を捨てる現場を、隠しカメラで見て、拾いに行った。
それで、こっそりDNA鑑定して薫くんの子だと分かったから、脅迫文を作った」
俺は和美の笑顔を睨みつけた。
「…こんな、こんなことが許されると思ってるのか?警察へ行けばお前は――」
「私は証拠を残すようなことはしない。
捕まるとしてもしても、絵里奈とコータまでかな?」
和美が肩をすくめ、笑った。
そして、笑いをこらえながら言った。
「それに、薫くんだって悪いよ。大翔くん、かわいそうじゃない。利用されるために生まれてきて、使えなかったら捨てられて。父親からも邪魔者扱い。
あの子、一体何のために生まれてきたのかな?」
雫の言葉がよみがえる。
――あの子が生まれてきたのは事故でしょ。
「ま、仕方ないけどね。
赤ん坊なんて、ただの欲求のカタマリ。
心なんてあって無いようなもの。
犬猫と同じ。捨てられたって仕方ない」
「黙れ」
大翔の幼い顔が浮かぶ。
空気の読めない泣き声。
ふと見せる笑顔。
俺は和美を見た。