マイベイビー&ハピネス☆

俺は窓から下を見下ろした。

冷たい夜風が頬をさする。

暗いためか、地面はより遠く感じられた。

持っていた携帯電話を放り投げると、吸い込まれるように闇の中へと消えた。

このまま飛び降りて、

大翔は生きていられるだろうか。

絶対に離してしまってはいけない。

上着を使って、大翔を自分の胸に固定する。

そして、くるりと後ろを振り返った。

赤々と燃える炎はすぐそこまで、迫っていた。

大翔を前に抱えて、背中から落ちれば少しは大翔の衝撃が和らぐだろうか。

だけど、上手く、いくだろうか。

窓枠に座り込み、呼吸を整える。

そうして俺は、窓枠を蹴った。



落下――。
< 188 / 210 >

この作品をシェア

pagetop