マイベイビー&ハピネス☆
「薫くん、尚輝くん!」
尚輝の真の狙いが、構内で俺たちを呼ぶ。
すでに辺りは、たくさんの人。
「好きなら、2人きりで来ればいいのに」
俺のつぶやきに、隣で尚輝が真剣に声を尖らせた。
「しっ!聞こえるだろ」
そーゆーコト。
尚輝は和美が好き。
だけど、2人きりは緊張する。
しかも、2人きりで姉ちゃんと会ったら、からかわれること請け合い、だそーだ。
シャイボーイか。
「ごめん。ちょっと遅れちゃった?」
「ううん、オレたちも今来たんだ!」
うそつけ。
小1時間も、俺を下見に付き合わせただろーが。
久しぶりに大翔から開放され、緊張の糸が切れたいせいか、俺の頭は半分思考停止。
「どうしたの?薫くん。ボーっとして」
和美が心配そうな目でこっちを見る。
「……えっ、いや、何でもないよ」
いかん、いかん。
今日の俺は、オマケの補佐役。
必要以上に、和美の注意を引いては…。
そこへ、尚輝の声がかかる。
「じゃ、行こーぜ!姉ちゃんの劇、もうすぐだから」