マイベイビー&ハピネス☆
「――スタッフの人にね、どうしてもって言われて」
「そうなんだ」
悪夢のステージショーが終わり、俺たちは3人でベンチに腰掛けていた。
和美が尚輝に、コトの次第を説明している。俺はもう何も言う気になれない。
「出場予定のカップルが1組、出られなくなって。
スタッフの人はね、色んな人に代わりを頼もうとしたんだけど断られちゃったんだって」
「そっか。そんな必死に頼まれたら、断れないよな。
――にしても薫、スゲェ棒読みだったから、偽カップルだって、回答者にバレバレだったな」
口元だけ笑う尚輝が、俺を見る。
目はこう言っている。“今後、背中に気をつけろ”
俺の表情が強張りかけたところで、声がかかった。