マイベイビー&ハピネス☆
「協力してやってもいい。兄貴(つまり俺の親父)にも黙っててやるさ」
信也は、人が困っているのを見て楽しむという悪趣味の持ち主。
俺への協力の動機もそう。
探偵になった動機もそう。
「この鑑定書が偽者の可能性もあるから、最初にお前と赤ん坊のDNA鑑定をして、本当に親子かどうか確かめる。
もし本当に父親だった場合、5人の女子の中から母親を探すことになる。5人のDAN鑑定も必要だ。
DNA鑑定については、俺がツテを頼ってやってもらおう。
だからとりあえずお前は、鑑定に必要な候補者5人の唾液か髪の毛取って来ておけ」
「俺が本当に父親だと判明したら、5人のサンプル採取すればいいんだろ」
「どーせお前が父親に決まってるから、時間の節約だ」
「そんなわけ――」
「で、鑑定に必要な髪の毛とかのサンプル採取は、こっそりやれよ。いちいち許可取ったりすんの、めんどいし」
さくっと話を遮る信也に、俺は眉をひそめた。
「それって、なんか違法な気が…」
「じゃ、5人に事情説明して協力してもらうか?」
もし俺が父親だった場合、
この5人の中に、脅迫状の送り主がいる可能性がある。
もしそいつに、母親探ししてるなんて知れたら、脅迫内容実行されるかも…。
俺の迷いを見透かしたように、信也はニヤリと笑った。
「こっそりやれ。
鑑定費用も半分はオレが負担してやろう。
でも、本当に自分が父親だと結果が出たら、どうするかも考えとけよ」
俺が父親だったら、どうするか。
そんなの、決まっている。