夏の事。
<タケル視点>

「タケルー!!」

搾乳室で搾乳する準備をしていたら、あかりの声がした気がした。

タケルが起きたのは午前3時半。

いつもと同じ時間。

「俺、家継ぐわ!!」
そう言ってから、癖になってる早起き。

変わり映えのない一日が始まる。

学校はもう夏休み。

(今日も家の手伝いに忙殺されるんだな)

そんな事を思いながら。

変わったのは

『お前の事、好きなんだ!誰が何と言おうともっ!!』

去っていくあかりの背中に行った一言。

変わったのは、あかりとの関係。

(…あかり、来てくれないんだろうな。
顔、合わせずらいもんな。)

いつもの様に、作業服を着て、タケルはそう思う。

昨日は散々だった。

襖で涙を流した後、

ひとみには

「んもぉ!!あかりちゃん傷付けたら許さないからね!!」

なんて、自分が家に上げた癖に、散々怒られちゃうし。

父には

「お前、頑張ったなぁ…!!」

なんて、ポンポン肩を叩かれちゃうし。

一番大変だったのは母。

「あんた〜!!やり方間違えなきゃ今頃付き合ってたかもしれんのにぃ〜!!」


てな具合。


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