夏の事。
あかりとタケルは顔を見合わせ


ツカツカツカツカと牛舎の外へ出て行く。


そしてタケルは


「こるぁぁぁ〜おめぇらなんでここにいるんだぁぁぁ〜?!」


と、ヒサシの肩をガグガク揺さぶる。


「や、や…ハハハハ……な、なんか、お袋が良いもん見れると思うから偵察に行きやがれって」

「ばあちゃぁぁぁ〜ん……」

あかりは彼方を睨みつける。

「んで、なんでその他大勢もいるんだぁ?!」


と、シンを睨みつける。


「や、や、な、なんか、ヒサシさんから、一人じゃ心細いからって!」


「そ、そう、ヒ、ヒサシがっ!!」


「お、おれぇっ!?」



「おめぇら全員今日は一日…働いてもらうぞ…」


「「「は、はいぃ〜」」」


タケルの剣幕に小さくなっていく3人を見て、


あかりはクスクス笑った。


タケルはその姿を見て、


(ま、いっか)


と思う。



そして、3人が作業服をタケルの家に取りに行く為背を向けた瞬間に


チュッ

と、あかりの唇にキスをした。


カァァァァァ〜


赤くなるタケルとあかりは、ギュッと手を握り


「二人でビシビシあいつらしごいてやろうな」

「ばあちゃんにはどうする?」


「ま、まぁ、ばあちゃんにはなー…」


「分かった!今日美味しいモンつくって貰う!!」


「いぃねぇ〜」


…そんな会話をしつつ、牛舎の中に入った。


(初カノだぁぁぁ〜!!)


何か少し要点がズレているタケルに


そんな事を思ってるか露知らず、黙々作業に入ったあかり。


これからどんな事が待ち受けてるか知らずに…。
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