夏の事。
祖母に背を向けながら、祖母の清拭が終わるのをじっと待つあかり。

「…………お腹空いたら、ばあちゃんに言うんだよ…」


「……うん……」

祖母もそれ以上の事が言えなかった。

あかりは祖母に背を向け、何も言わない代わり、次々と涙が溢れては、枕に染みを作っていた。


嗚咽をしないように。

嗚咽をしてしまうと、泣いていることがバレてしまうから……。


あかりはひたすら涙を流した。


感情的にならないように、

涙によって、体から感情が全て出せれたら良いのに……。


そう思いながら……。
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