夏の事。
「…ですがっ!!」

母自身は、あかりが自殺未遂を起こしたと言うことが半ば信じられないでいた。

…うちの子に限って、そんな事する筈がない。


その気持ちが、子どもがいたと言うことも、飛び降りたと言うことも、人から、やられたのではないかと言う気持ちを駆り立てていたのである。


しかし、あかりにとっては
さゆりの行動一つ一つが癪にさわった。


それはさゆりが飛び降りた一つの理由だからということでもある。

(この期に及んで犯人探し…私の事なんて何も知ろうともしなかったくせに…)


何回も話をしようとした。
けど、それを見過ごしていたのは母。

いつも勉強勉強ばかり言って。


大切な時にはいつも助けてくれなかったじゃない…と、あかりは思っていたから。


あかりは

「お母さん、もうやめてよっ!!」
と。

思わず口を挟んでいた。


「いっつも、私の事、助けてくれなかった癖に何を今更…?」

と。
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