夏の事。
あかりの言葉に部屋の中がしんと静かになる。


「お母さんはいっつもそう!!
中学でいじめられた時も、私に何も話をさせないで、「勉強勉強」ばっかだったよね?
私、一人でどんなに苦しんでたかわかってる?

今回の事だってそうよ…。
私何回もお母さんに相談しようとした。

けど、お母さんはろくに話もせずに仕事に行ってたよね?

この期に及んで、偽善者ぶんないでよ!!」

ずっと、私の事なんか心配じゃなかったくせに…。と、
あかりは今まで蓄積した感情を飛ばした。


さゆりはあかりのその言葉に少しハッとした表情をした。

しかし。

「…あんたはそんな理由で人様に迷惑をかけたの?

あんたが飛び降りてくれたせいで、私近所もろくに歩けないのよっ!?

しかも父親も言わない子どもなんか身篭ってくれちゃって…。

恥ずかしいったらありゃしない。

あんたなんか真面目に勉強してればそれで良かったのよ!!」


「さゆりっ!!それは違うだろう!!」


父が母を止めようとしたが、さゆりは

「あなたは黙ってて!!」
と制する。



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