夏の事。
夕方、一通り作業を終えたタケルは
田中農場の大きな車庫にトラクタを片付け
あかりの祖父の帰りを今か今かと待ち受けていた。


…ブォンッ。

砂利の音と共に家の敷地内に入ってくる白い乗用車。


あかりの祖父だ。


あかりの祖父はいつもの定位置に車を停め

『おー、タケルかぁ。

お前ちょっと手伝えー。」

と言い、車のトランケの中にあった、いつもなら大量に届けられる筈の肥料や、飲み物類のペットボトル4本に食料品を指差した。


「おう、分かったわ」
と、祖父には声を掛けたものの


(聴くタイミングが掴めねぇ…)


と、あかりの事を聞けずにいた。


「今日も飯食ってくべ?」

「あ…うん。」


そう返事をしたタケルは

(うっしゃ!!これで聞けれるかもしれない!!)


と、心の中で小さくガッツポーズをした。
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