夏の事。
その筈だったのに……。

(き、気まずい…。)


カチャ…トン…。


俯き加減でご飯を食べるあかりが目の前にいる。


ばあちゃんは

「ほれ、タケル、たくさん食べなさい!!」

と、いつもがっつく様に食べているタケルが、一口ずつ食べ物を食べてはトン…と、茶碗を置いている姿を見て、そう促すけれど。


(こんなに昔、こいつ無口だったかなぁ…)

と、正面にいるあかりを見ると、気が気じゃなくなってくる。

ふとじいちゃんが


「あかり、今日は何してたんだ?」

と聞いた。


その祖父の問い掛けに対しても


「別に…」


と俯き加減で返してる。


よくよく見れば祖母やヒサシまでもが、どことなくあかりに気を遣っているようにも見える。


(なんだよ…?この雰囲気)

何も知らないタケルは
ますます疑問を膨らませる。


そして不意に


「あ、あのっ!!」

とあかりに声を掛けた。


すっと、あかりは伏し目がちに


「何?」と、タケルに問う。


やっぱり苛々する。

なんでだ?

なんで、そんな表情ばっかりなんだよ…。
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