黒ユリのタンゴ
調べてみないか、という私のアイデアに、神田君は驚いていた。


「いや、そんな真剣に調査しようってんじゃないのよ。

ただ、関係者って驚くほど少ないんじゃないかなって思って。

たぶん、文芸部と私たちだけよ」


神田君もその通りかもしれない、とつぶやくと私に右手を差し出してきた。


「よし、何ができるかわからないけど、大会を中止するのは絶対嫌だ。

山崎先輩を助ける意味で、一緒に調べてみようか」



そうだ。

辛いときにいつも優しく接してくれたボス。

今日みたいなボスの暗い表情は、わたしも見たくない。



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