黒ユリのタンゴ
ボスは、泣いていた。

私より先に。


「山崎せん、ぱい・・・?」


ボスの言葉は、言葉になってなかった。

ただ、「ありがと」と。



私も限界だ。


それを聞くと、今度はプリンス先輩に向かう。


もう笑顔じゃなくなっちゃってる。


でも、これだけは伝えなきゃ。


「先輩、ボスを大切にしてくださいね」

「泣かせたりしたら、智香と怒りにいきますからね」



ボスは、今までで一番男前な笑顔で、こう言ってくれた。


「うん・・・。

黒ユリちゃん、ありがとう。

君に好きになってもらえて・・・うれしかったよ」


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