黒ユリのタンゴ
「へぇ~。百人一首の夢、かあ。変わってるねえ」


木曜の放課後、神田君と職員室へ向かう途中。
面白いネタじゃないんだけど、と前置きをして夕べ見た夢の話をしてみた。

と言っても先輩がらみの話は一切せず、ただ、本で読んだ内容の夢を見たというだけだけど。


その前にも、昨日のお昼休みに食堂で智香に話をしてみた。


智香は一通り私の話を聞いてくれたあとで、いろいろとアドバイスをくれた。


「やっぱり放課後に聞いたうわさ話の影響じゃないの?」

「あくまでうわさだって、私も聞いたことないし、気にしないほうがいいよ」


ただ、最後にこう心配してくれた。

「夢に見るなんて、そーとー悩んでる、ってことなんじゃないかなあ。私は精神的なところはわからないけど、どこかでちゃんと発散したほうがいいよ、きっと。」

「今週末はうちでゆっくりしていきなよ。なんなら泊まっていったら?気分もまぎれるよ、きっと。」


実は、そのときの「精神的なところ」が気になっていた。

それで神田君に思い切って夢とココロの関係を聞いてみたわけ。
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