黒ユリのタンゴ
思ったより博学なんだね、こう神田君に言うと、ちょっぴり困った顔だ。

「別にそうじゃないよ。本とかの受け売りが多いだけ」

・・・ふうん。
たまには本でも読んでみようかしらん。


最後は智香と同じことを言ってくれた。
「あんまり気にすることないけど、悩みがあるならスッキリさせてあげたほうが、精神衛生上いいんじゃないかな」


「大丈夫、友達と神田君に聞いてもらったらちょっとスッキリできたよ」
「だったら今日はいい夢みれるといいねえ」


そうこうするうちに、体育館に着いた。
体育教官室は、奥の扉の向こうだ。

何も悪くないのに、いつもここに来ると緊張するんだよね。
体育の先生ってコワイじゃん。

こうつぶやくと、神田君は笑っていた。
僕もそうだよ。体育ってなんか苦手だし。
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