黒ユリのタンゴ
無事に体育教官に貸し出し依頼を終え、またペットボトルを片手に駐輪場で「お疲れ様会」をしていた。


しばらく私達の習慣になりそうだ。


暖かいペットボトルのお茶を飲みながら、思ったより鬼教官は怖くなかっただの、いろいろと感想を言い合っていたが、突然、神田君がこんなうわさ話を教えてくれた。


なんでも、文芸部が今もめているらしい、と。


「クラスのコが教えてくれたんだけどさ」


百人一首大会に関して、どうやらいざこざが起きているらしい。

ただ、教えてくれた子もそれ以上のことはわからないそうで。


「僕が実行委員だからさ、なんかうわさとして教えてもらえたっぽい」


大会の開催そのものが危ぶまれるなら心配だけど、どうなんだろう。

ただ、文芸部向き合いは2年の先輩に任せているので、今回私たちはまったく接点がない。


「うちのクラスには文芸部っていないはずだしなあ。わたしも調べようもないなあ」

「対処のしようもない、って感じだね」


「そうだ。確か2年の光永先輩って文芸部だよね。あとボスもそうだし。
ちょっと明日の打ち合わせでそれとなく聞いてみない?」

「そうだね。それいいかも」


実際はたいしたことじゃないだろうけど、変なうわさが流れることは実行委員にとっては不本意だ。

いろいろな準備に支障が出ても困る。

少なくともボスの耳には入れておこう、という結論でお疲れ様会は終わった。
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