黒ユリのタンゴ
学校からチャリで10分のところにあるミスタードーナッツ。

智香とそこに向かう。



「神田君も中学からそこそこ賢かったからねえ」


実は、智香と神田君は同じ中学だったらしい。


この間のお泊り会。
私は智香の家で卒業アルバムを見せてもらった。



・・・マジメ眼鏡は変わらず、ちょっと今より幼い。



「いい人だけど、地味すぎるんだよね。パンチに欠ける」


言いたいことはなんとなく分かるが、「パンチ」とはどういうことだろう。

智香のセンスも、たまに分からなくなる。


「まあ、今日はいろいろと助けてもらうんだし、同じ中学の子って久々だからさ」

智香も楽しそうだ。


早速ミスドについてチャリを止める。

店内を覗くと、神田君は先に机で参考書を広げていた。

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