黒ユリのタンゴ
先に「お久しぶりっ」と話しかけたのは智香だった。

気づいた神田君は、こちらに向かって手を振る。



しばらく思い出話かなと思い、二人に話しかけることにする。

「飲み物頼んできてあげるよ。何がいい?」

「僕カフェオレ」

「ありがと!私もカフェオレで」




夕方のミスドのレジは混んでいた。

店内には同じ高校の制服もチラホラ見かける。



私達学生には、こういう「飲み放題」「お代わり自由」というのはすごくありがたい。

ファミレスやミスドといえば、長時間友達とだべって・・・の定番だ。

でもミスドで勉強ってのは考えたことがなかった。

勉強といえば(やらないけど)図書館だと思うし。


変わってるなあ、神田君って。



注文したカフェオレを三つ持ち、席を見ると、二人はまだ思い出話に花が咲いているようだった。


「二人とも仲良しさんじゃん」

智香もマイナーだの、眼鏡だの言ってたわりには楽しそうに話している。
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