黒ユリのタンゴ
ロビーで待っていれば、プリンス先輩達に会えるかと思ったが

世の中そんなに甘くなかった。


エレベーター前の掲示によると、3年のクラスはみっちり8時まで講義があるらしい。


「さすがに自習室まで押しかけるわけにはいかないしね」



仕方ない。

今日は帰るとするか。



ふと、ドアの近くで誰かのはしゃぐ声がする。


「いよいよ明日はクリスマスイブだよね~」




・・・。

・・・ああ。


智香と顔を見合わせる。


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