きみが見た光
「真白?」

俺の異変に気付いた圭は、俺の肩を軽く叩くが俺は気付かなかった。

今、この体育館の中で響き渡るその声に、俺は忘れかけていた感情が込み上がっていたのだ。




それは、"怒り"だ。

俺は、この女に怒っていたのだ。

どうしてこんなところで会わなければならないんだ…?

もう、会うこともないと思っていたのに…



俺だって、記憶を無くせたらどんなに楽なものか…

目の前で起きた現実さえも受け止められず、逃げるようにして記憶を無くした、あの女のことを、俺は一度だって許したことは、ない…!!



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