きみが見た光
「考えてみろよ。声だけで俺の名前を言い当てて、いつもあんたのそばにいて、変えた番号を知ることができるのは、学校関係者しかいねぇだろ」

俺の考えを聞いた奈緒は、戸惑いを隠せない様子だった。

「逆探知する日は、警察の他に誰かいたの?」

「橘先生が…」

俺は確信した。

「じゃぁ犯人は橘なんじゃない?」

俺ははっきりと言った。

「え…っ? まさか、なんで? だってあんなに親身になって…」

俺の推理を聞いた奈緒の顔は、戸惑いと驚きに染まっていた。

「親身になって相談を受けてたフリしてたんだろ」

「だってあんなに紳士的なのに…」

「まぁ、兄貴とは全く違うタイプだよな」

俺が皮肉たっぷりとそう言うと、奈緒はムッとした顔を向けた。

「そんなこと今は関係ないでしょ」

「とにかく、少なくとも犯人である可能性はあるだろ」

俺はぬるくなったお茶を、一気に啜った。

「…ないよ。橘先生の何を知ってるの? 嫌いってだけでそんなこと言うなんて」

奈緒は眉尻を上げて首を横に振り、俺の推理を切り捨てた。

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