きみが見た光
いつも
届きそうで、この手は決して届かない。

そう、いつも――

昔の俺が、今の俺の心の中に住んでいる。

どうして惑わそうとするんだ?

頼むから、昔の感情を引っ張り出さないでくれ

虚しくなるだけじゃねぇかよ

そんな思いをまたしなくちゃいけないのかよ、俺は…


ぐるぐると回る、俺の感情…

素直な気持ちが湾曲して、屈折して、散り散りとなっていく。

いつの間にか、"隠す"ことがクセになっているのかもしれない。

気持ちを押し殺すこと

俺にとっては当たり前のこと。いつものことだ。

さっきまで、それでもよかったのに…

俺は走りながら笑った。その時、涙が流れていたことに、気付かなかった。



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