きみが見た光
8.学校にて
「真白」

朝、教室に入ると、彩夏が俺の前までやってきて俺の名を呼ぶ。

「あ?」

いつも通りそれに答えると、彩夏はいつものようなあのいたずらに満ちた笑顔ではないことに、違和感を覚えた。

「あたし達、別れよ」

彩夏の口から飛び出したその言葉で、また周りの注目を浴びることになった。

「は? 朝からなんなんだよ」

「あたし、他に好きな人ができた」

「誰?」

俺は眉をひそめて、怪訝そうな顔をして尋ねた。

好きな人ができたのは別に構わない。ただ、それはこんな目立つやり方で言うことじゃないはずだ。

彩夏は、俺から視線を逸らすと廊下を見ていた。

「野崎と、付き合うことに…」

それだけ言うと、彩夏は走って教室を出て行ってしまったのだ。

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