きみが見た光
「彩夏、ちょっ…」

廊下で友達と一緒にいる彩夏に声をかけようとするが、彼女は避けるようにスタスタと友達の手を無理矢理引いて行ってしまう。

「あ、おい…」

廊下を曲がってしまい、彼女の姿が見えなくなった。俺は頭を掻いた。

(なんなんだよ…)

いなくなった彩夏の残像を眺め、俺は踵を返す。思わず、溜息を吐いていた。

「真白、次の選択だろ」

ジャージを着た圭が後ろから顔を出す。俺はうなずきながら、圭とその場を後にした。



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