きみが見た光
思わず力が入る、無意識に結んだ拳。力が入りすぎて、手の平に爪の跡が残るほどだった。

「そんなに暑いのか、真白」

俺の赤い顔を見た圭が、後ろから耳打ちしてくる。その時、額に汗をかいていたことに気付いた。

「いや、そう訳じゃねぇけど…」

ふと我に返り、小さな声で答えながら、俺は額の汗を手の甲で拭った。



間違いない。
あの女は、俺の兄貴を殺した女だ。






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