きみが見た光
「…どういう意味?」

『この間、真白が自転車の後ろに近藤先生を乗せて、近藤先生のアパートに入っていったのを見たって、野崎が…』

彩夏の言葉を聞いて、俺はがくっと肩を落とす。

見られていたのか。
よりによって、野崎に……

『…あいつ、暇な奴だから、写真も』

「で、お前、まさか…?」

彩夏は黙ってしまった。それが何よりの答えじゃないか。

「…取り引きしたんだな? 写真が流失しないように」

俺が尋ねると、うなずく替わりに鼻の啜る音が聞こえてきたのだ。

彩夏…
そこまでして

「…そこまでしてなんで俺を庇う? お前にそこまでしてもらう義理はない。野崎が嫌いなんだろ? 付き合ってるのはお前の意志じゃないんだろ? 別れろよ。俺に気を遣うな。写真なんてどうだっていい」

この間のHRの後もそうだ。

何故……

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